
最近、エンジンの不調が3つあって、 ①アイドリング回転数が急下降して起こる「エンスト」、②走行中にエンジン回転数が急下降して生じる「減速」、③走行中にエンジン回転数が下がったり戻ったりする「ハンチング」です。前回のレポートで、
エアフロメーターを洗浄すると、①と②の「エンスト」と「減速」は起こってないので、改善されたと思いますが、③の「ハンチング」は、依然症状が発生している状況です。そこで今回は、現在のパワートランジスター(中古を約15年使用品)が、経年劣化による電圧不安定で妖しそうなので、これをほぼ新品のものに交換して、エンジンの不調が直るかを確認したいと思います。それでは、丸印のパワートランジスターを取り外しましょう。

パワトラの拡大写真です。約17年前にプラグカバーを取り外したため、このような縦置きに設置しています。縦置きにしたことによるパワトラの不具合はこれまで全くなく、むしろ本来の横置きよりも、熱影響を受けにくいと思っています。

ちなみに、こちらが本来の横置きの写真です。パワトラは、プラグカバーの上にボルト固定(4箇所)されています。そしてプラグカバーの下には、ダイレクトイグニッションコイルやハーネスがあり、これらは密閉状態のため、エンジンの熱がこもりやすくなっています。

パワトラを取り外しました。丸印がパワトラステーになります。

縦置きパワトラステーは、アルミのアングル(縦20mm×横20mm×厚さ2mm)を長さ35mmで切断し、穴をあけて作製しました。写真の左側が車両左側用、右側が車両右側用です。赤色矢印がパワトラの取付穴で直径約6mm、青色矢印がロッカーカバーの取付穴で直径約5mmになります。

縦置きパワトラステー(車両左側)を実測して製図しました。

左側が今回取り付けるパワトラ(ほぼ新品)、右側が取り外したパワトラ(中古を約15年使用品)です。品番は共に、22020-05U00になります。

パワトラを裏返した写真です。外観は、特に大差ないように見えるので、各パワトラの抵抗値だけ測定しておきます。

上側のコネクタハウジング(7極)の拡大写真です。左側丸印の「C」は、NPN型トランジスターのコレクタ(Collector)を表す記号で、ハウジング内には、増幅された電流を取り出す端子(6極)があり、下線「1~6」はエンジンシリンダー番号[№1~№6]と対応しています。また、右側丸印の「E」はエミッタ(Emitter)を表し、アース端子(1極)があります。

こちらは、下側のコネクタハウジング(6極)になります。左側丸印の「B」はベース(base)を表す記号で、ハウジング内には、電流を入力する端子(6極)があり、下線「1~6」はエンジンシリンダー番号[№1~№6]と対応しています。

図で描くと、こんな感じ。赤色矢印は車両前方を示しています。上側のコネクタハウジングは、電流の出力側で「C1~C6」と「E」の7極あり、下側のコネクタハウジングは、電流の入力側で「B1~B6」の6極あります。

ちなみに、左側がNPN型トランジスターの回路記号(コレクタ、ベース、エミッタ)で、右側がNPN型トランジスターの接合状態(N型半導体、P型半導体)になります。

2つのパワトラ(ほぼ新品、中古を約15年使用品)について、テスターで抵抗値を測定した結果を表にしました。尚、表中の抵抗値はエンジンシリンダー番号[№1~№6]の各抵抗値を平均した値です。【1】はコレクタ・エミッタ間の抵抗値Rceです。NPN型トランジスターでは、ベースに電流が流れない場合、コレクタ・エミッタ間はスイッチが開いた状態となり、抵抗値が無限大を示します。本測定値は、O.L(OVER LIMIT)を示し、抵抗値が無限大であるので正常だと分かりました。他方、ベースに電流が流れる場合、コレクタ・エミッタ間はスイッチが閉じた状態となり、抵抗値が0[Ω]となります。【2】はベース・エミッタ間の抵抗値Rbeです。ベース・エミッタ間は半導体であるため、抵抗値は1~10[kΩ]が目安とされています。本測定値は、1~2[kΩ]を示し、抵抗値が正常だと分かりました。【3】はベース・コレクタ間の抵抗値Rbcです。ベース・コレクタ間も半導体となりますが、抵抗値は数百[kΩ]~数[MΩ]以上の非常に高い抵抗値となるようです。本測定値は、9~12[MΩ]を示し、抵抗値が正常だと分かりました。以上から、2つのパワトラの抵抗値については、多少の差はあるが問題ないレベルだと思われます。

パワトラをほぼ新品のものに交換して、車に乗って走行確認してみました。今回のエンジン不調は、③走行中にエンジン回転数が下がったり戻ったりする「ハンチング」だったのですが、パワトラ交換後も、依然症状が発生しており、パワトラがエンジン不調の原因ではないことが分りました。そうなると、次に考えられる原因として、「点火系」のダイレクトイグニッションコイルが妖しくなってきます。現在のダイレクトイグニッションコイルは、エンジンシリンダー番号[№1~№3]に限っては、純正品を約20年使用しているため、経年劣化による電圧不安定が懸念されます。そこで次回のレポートでは、ダイレクトイグニッションコイル(エンジンシリンダー番号[№1~№3])を、新品(アステモ品)に交換して、③の「ハンチング」が改善するか走行確認したいと思います。
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