
さて今回は、電動ファンを作動させることで、エアコンの冷風が出るまでの時間が短縮されるかを見ていきたいと思います。最初に、屋外駐車時において、電動ファン作動の有無により、エアコンの吹出温度に差があるかを確認しましょう。手順は、屋外駐車場に車を停めてエンジンとエアコンを切り、窓を開けて30分待機します。その後、窓を閉めてエンジンを掛け、アイドリング状態(800回転)で、エアコンを18℃設定(外気導入)にして、1分毎に10分間エアコンの吹出温度を測定します。

30分待機中の車内です。赤色矢印はデジタル温度計で、車内温度と黄色矢印の中央エアコン吹出口の温度を測定しています。これは、エアコンを作動させた後、エアコンダクトに冷気が残るため、温度測定結果に影響が出ないように、車内温度と中央エアコン吹出口の温度が同じになるまで、エアコンダクトの冷気が暖まるのを待っています。

これがデジタル温度計で、シンワ製のSmart Bです。本体に内部センサー[IN]と、付属コードに外部センサー[OUT]が付いているので、2箇所の温度測定が可能です。

中央エアコン吹出口の写真になります。矢印がデジタル温度計の外部センサーです。

あと、電動ファン無しの測定時には、矢印にあったラジエーターファンのヒュージブルリンク(茶色)を抜いておきました。これは、ラジエーターの水温が90℃以上になった場合に、電動ファンが作動するのを防ぐためです。尚、エンジンルーム内のリレーボックスの詳細については、
補助電動ファンを取り付ける(1)をご覧下さい。

抜き取ったヒュージブルリンク(25A)です。

それでは準備が整ったので、屋外駐車時での電動ファン無しの測定を開始しましょう。窓を閉めてエンジンを掛けると、アイドリング状態になりました。

エアコンを18℃設定にして、1分毎に10分間エアコンの吹出温度を測定しました。

電動ファン無しの測定が完了しました。エンジンとエアコンを切り、窓を開けて30分待機後、電動ファン有りの測定を行います。先程抜き取ったヒュージブルリンクを元に戻し、窓を閉めてエンジンを掛け、エアコンを18℃設定にして、矢印のフォグスイッチを押して、1分毎に10分間エアコンの吹出温度を測定しました。

屋外駐車時の測定結果です。気温は36℃でした。電動ファン有りでは、電動ファン無しより、エアコンの吹出温度が約1℃下がった程度で、あまり冷却効果はありませんでした。9分経過時に電動ファン無しの吹出温度が高くなっているのは、一時的にエンジン回転数が落ちたためです。本デジタル温度計と自分の肌感覚から、冷風と感じる温度は約20℃ですが、本測定では最低温度が約28℃となり、屋外駐車時のアイドリング状態では、電動ファンの有無によらず、冷風が出ないことが分かりました。

次に、直射日光の影響がない屋内駐車時においても、屋外駐車時と同様の温度測定を行いました。

屋内駐車時の測定結果です。気温は33℃でした。測定開始時(0分時)に約1℃の温度差はありますが、電動ファン有りでは、電動ファン無しより、エアコンの吹出温度が2~3℃下がり、屋外駐車時よりも冷却効果がありました。10分経過時に電動ファン無しの吹出温度が高くなっているのは、一時的にエンジン回転数が落ちたためです。本測定でも最低温度が約26℃となり、電動ファン有りでも屋外駐車時同様、冷風が出ませんでした。

最後に、40km/hの走行時において、屋外および屋内駐車時と同様の温度測定を行いました。

40km/hで走行中のメーターです。3速で2000回転を表示しています。

40km/hで走行時の測定結果です。気温は33℃でした。本測定前の30分待機は、木陰で行いました。測定開始時(0分時)における約2℃の温度差を考慮すると、電動ファンの有無によらず、ほぼ同じ吹出温度の冷却曲線になりました。そして、走行約2分で冷風と感じる20℃に達し、更に10分で寒いと感じる約12℃まで、エアコンの吹出温度は下がっていきました。正直の所、電動ファンはアイドリング状態で、冷風が出るほど冷却効果があるものと思ってましたが、エアコンコンプレッサーの回転数の影響が大きいのですね。今回の測定結果をまとめると、①「屋外駐車時は、電動ファンの冷却効果はなく、吹出温度は約28℃で冷風が出ない」、②「屋内駐車時は、電動ファンの冷却効果は2~3℃あるが、吹出温度は約26℃で冷風が出ない」、③「40km/hで走行時は、電動ファンの冷却効果はないが、吹出温度は約2分で冷風が出る」となります。以上の結果から、夏の暑い時期に車を駐車して、時間が経って再び乗る場合は、駐車時に電動ファンを作動させても、あまりエアコンの吹出温度は下がらないが、40km/hで走行すれば、約2分で冷風が出ることが分かりました。

他方、今回電動ファンを取り付けたことで、一つ良かったことがありました。それは、電動ファンを作動させるフォグスイッチを押していないのに、アイドリング時に電動ファンが度々作動しているのに気付いたことです。これは、水温上昇抑制のため作動しているのですが、今まで電動ファンを外していたので、全く分かりませんでした。夏場にはオーバーヒートの危険もあるので、今回取り付けておいて正解でした。
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